1964年にブリュッセルのシルク・ロワイヤルにて初演され、20世紀バレエ史上に残る傑作と謳われた伝説のステージがある――天才振付家モーリス・ベジャール率いる20世紀バレエ団が踊ったルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの最高峰『第九交響曲』の舞台だ。世界各地でセンセーションを巻き起こし、1978年のモスクワのクレムリン宮殿での上演を最後にベジャールにより封印されてしまう。その後、1999年のパリ・オペラ座のパリ公演を最後に途絶え、2007年のベジャール亡き後は、再演は不可能とされてきた。総数80人余のダンサーにオーケストラとソロ歌手、合唱団を加え、総勢350人に及ぶアーティストの力を結集した他に類をみない大規模なスケール。合唱団や独奏者が必要であるばかりか多くの優秀なダンサーが不可欠であるため、本作は長年上映が実現しなかった。だが、15年後の2014年に、東京バレエ団創立50周年記念シリーズ第7弾として、東京バレエ団とモーリス・ベジャール・バレエ団の共同制作として空前絶後の一大プロジェクトが実現した。
その奇跡のステージを作り上げるまでの過酷な練習や度重なるリハーサル、ダンサーたちの情熱や苦悩といったバックステージを描いたドキュメンタリーが『ダンシング・ベートーヴェン』だ。本作は、2016年バジャドリード国際映画週タイム・オブ・ヒストリー部門準グランプリを受賞、さらに2017年上海国際映画祭および2017年ダンス・オン・カメラ映画祭でも上映され話題を呼んだ。
不可能とされた伝説のステージが時を超え実現、
21世紀のバレエ史に残る新たなる感動へ。
21世紀のバレエ史に残る新たなる感動へ。